小特集 轟天!
 ついに公開されました「ゴジラ ファイナル ウォーズ」
 その主役メカは三代目「轟天」! というわけで、ちょっと「轟天」の特集を組んでみました。
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 すてきなご時世になったもので、なんと三代全ての轟天のミニチュアが安価に入手できます。
 右から初代(東宝マシンクロニクル)、二代目(東宝マシンクロニクル2)、三代目((ミニバトルG)です。
 では、手元の資料と記憶をもとに個々に解説を入れていきましょう。
 初代「轟天」。海底軍艦の異名をとる万能戦艦です。GFW冒頭での活躍は一部のファンの方々にとっては感涙ものだったに違いありません。

 全長150m、重量1万トン。速度、空中マッハ2、海中50ノット、地中時速20キロ。武装、艦首回転衝角、三連電子砲x4,艦首冷線砲。
 旧日本海軍の決戦兵器として開発中に、終戦をむかえた。その設計図は神宮司大佐率いる轟天建武隊により潜水艦イ-403で持ち出される。しかし、イ-403は海底のムウ帝国の手におち、設計図の一部を奪われてしまう。
 轟天建武隊はその後、天然資源に恵まれた南海の孤島で密かに轟天を建造。大日本帝国の再起に備えるのであった。
 ムウ帝国は、地底にある彼らの本拠に侵攻することも可能な轟天を最大の脅威とみなし、地上侵攻の準備とともに轟天の所在をつきとめるべく行動を開始した。
 1963年12月に公開された映画「海底軍艦」の物語はここから始まり、轟天とムウ帝国の決戦が描かれます。
 劇中では、電子砲では使用しませんでしたが、カットされたシーンの中には、この電子砲でムウの潜水艦と撃ち合いをするシーンがあります。ただし、それを見ると空中の轟天から海上に砲撃しているように見えますので、当初の設定では、実体弾砲だったのかもしれません。
 フジミがプラモ化しており、この出来は良く、現在でも容易に入手できると思います。スタンダード・セットの他に、レジン・キットのマンダ付、ドック・ジオラマ、エッチング・パーツ、アルミ製ドリル付などのバリエーションがあります。

 さて、原作は押川春浪著「海底軍艦」、明治33年(1900年)の作品です。「海底軍艦・・・なんだ、潜水艦か」となってしまうのですが、当時のことですから、それはそれはスゴイ人気だったようです。その昔、「海底軍艦」と続編「武侠の日本」の合本を読んだことがありますが、敵も普通の人間ですし、肝心の海底軍艦がなかなか出てこないのでイライラして読んだ記憶があります。原作では、桜木大佐が来たるべき大戦に備えて作った潜水艦で、艦名も「電光艇」となんかこぢんまりした印象があります。もちろん空も飛びませんし、地にももぐりません。マンダとの一戦、ムウ帝国との決戦もありませんでした。
 二代目「轟天」。地球防衛艦です。初代とはデザインがどことなく似ているだけで、全く関連がありません。
 「スターウォーズ」、そして「宇宙戦艦ヤマト」のヒットのあやかって「海底軍艦」をリメイクした「惑星大戦争」(1977年12月公開)の主役メカです。
 ストーリーは「海底軍艦」とほぼ同じです。敵戦艦「大魔艦」との一騎打ちはなかなかに燃えるものがあります。

 全長157m。重量不明。武装、艦首ドリルミサイル、2連レーザー砲x5、航空爆雷、艦首レーザー砲、リボルバー・ビームなどなど。
 宇宙 からの武力侵攻に備え、滝川博士を中心とした国連プロジェクト・チームが南海の孤島の秘密基地にて建造。しかし、滝川博士は轟天の開発を中断してしまった。
 宇宙からの武力侵攻が本格化したとき、ついに滝川博士は解散したチームを招集。轟天建造を再開した。
 ついに発進した轟天は侵略者の小型機を地球近辺から一掃。母艦の潜む金星へと向かった。
 その轟天には宇宙人も恐れる秘密が隠されていた・・・

 かなり変な映画でして、銀河帝国からの侵略者のくせに大魔艦たった一隻で攻めてくるのです。後にソノラマ文庫から「ARIEL」というシリーズが刊行されたとき、その理由がわかりました。「こいつら下請けの侵略会社なんだ」、と。
 轟天の秘密というのも、ちょっとビックリでした。艦首のドリルミサイルにはなんと「エーテル破壊爆弾」が仕込まれているのです。
 いやぁ、今更エーテルとか言われても・・・
 しかも、それを使って金星ごと大魔艦を葬ってしまうのです。下請け侵略会社の戦艦一隻と引き替えに金星を失ってしまうというのも、何とも割の合わない話です。本社が来たらどうするんでしょう。(といっても、そういう設定の話ではないのですが)
 さらに、ポスターには「太陽系から金星が消滅した!!」とかいう、ネタバラシのあおり文句まで・・・
 轟天のメカとして魅力はまぁまぁなのですが、話が「こんな」なので「なんだかなぁ」という映画になっています。もっとも、今、改めて見ると違う意味で面白いですけどね。キャストとか・・・
 最新の轟天です。ゴジラとの戦いで南極に鎮座してしまった初代轟天に続く2番艦です。
 姉妹艦に中国の「火龍」、フランスの「エクレール」、米国の「ランプリング」などがあるようです。
 手元の資料には詳細なスペックはありません。
 その活躍ぶりは劇場でご覧ください。
 
 じつは、もう一台、轟天号はあるのです。
 ゆうきまさみ氏の「究極超人あーる」の主人公「R・田中一郎くん」の愛車(自転車だけど)です。
 劇場用アニメでは、この轟天号が大活躍します。また、劇中では、あのJR東海が販売していたインカ帝国由来の健康飲料「タヒボ・ベビータ」を一気飲みするシーンがあり、知る人を驚愕させました。
 今となっては知る人ぞ知る幻の缶入りドリンクなのですが、胃薬の味がするとんでもなくまずい・・・いや、面白い味がする飲み物でした。

 それはさておき、GFW本編は過去の作品へのオマージュのようなものなどが大量に盛り込まれ、たいへん面白く仕上がっています。
 せっかくなので、思いつくところから書き出してみましょう。映画のネタバレにもなっているので気をつけてお読みください。



 波川司令  「怪獣大戦争」の波川女史からのネーミング。演じているのは、もちろんどちらも水野久美さん。

 神宮司博士  初代海底軍艦の神宮司艦長からネーミング。

 「このノロマなカメめ」 といって、子供が投げ飛ばすおもちゃは、ポケモンのゼニガメのようでしたが、案外ガメラだったりして(未確認です)

 アリゾナのクモンガ  巨大グモはアリゾナに出るのです。「タランチュラの襲撃(1955 ユニヴァーサル)」というB級怪獣映画があります。生物を巨大化する薬品を投与されて巨大化したクモがアリゾナの砂漠で暴れ、最後は空軍に退治されるというお話です。とても、無関係とは思えません。

 オーストラリアに出現した怪獣  いわゆるアメゴジです。マグロ喰ってるようなやつはダメなのです。

 妖星ゴラス  東宝映画「妖星ゴラス」から。ゴラス激突を回避するため、南極に設置したロケット・エンジン群で地球を動かすトンデモないお話。「ウルトラマン」のジェット・ビートルの原型機が登場していることでも有名です。

 暗殺者のセリフ 「古きものども・・・」  米国の怪奇小説作家H・P・ラブクラフトが創設したクトゥルー神話群より。暗殺者に扮する佐野史郎氏がこの一連の作品群に惚れ込んでいるのは有名な話で、ご本人も何本か関連作品を執筆しているほどです。これは氏のアドリブではないでしょうか。この古きものどもとは、人類誕生以前に地球を支配していた異生命体のことで、今回のX星人にはピッタリのネーミングとも言えるでしょう。

 エリアGのニックとグレン これまた「怪獣大戦争」より。ニック・アダムス演じるグレンから。ちなみに彼らが聞いていたのは、初代メカゴジラのテーマ(「ゴジラ対メカゴジラより)

 X星人母船内のドッグファイター あきらかに「スターウォーズ ジェダイの復讐」を意識してますね。それから、対人戦闘はおおむね「マトリックス」を意識していると思います。

 「百発百中・・・」  宝田明氏演じる醍醐事務総長のセリフ。「百発百中」とは宝田氏主演のアクション映画らしいのですが、私はスチルをちらりと見たことがあるだけです。しかし、この事務総長、とんでもない経歴の持ち主のようですね。