メーサーは直進性が高く、きわめて高いエネルギーを効率よく照射することができる。一方で、一点にエネルギーが集中しているため、命中しなければ効果が無く、また、直進性が高いため、目標まで視線が通る必要があるなどの運用上の制限も多い。 なによりも、メーサーの最大問題は膨大な電力を必要とすることにある。発電にしても蓄電にしても、重量のある設備が必要であることには変わりが無い。 元来、メーサーは対怪獣ではなく、弾道弾や巡航ミサイルなどを水際で撃墜するために開発されたもので、固定施設または車両での運用が想定されており、電源の軽量化の重要性は認識されてはいたものの、必須とはされていなかった。 しかし、目標発見後の即時展開が要求される対怪獣戦闘において、航空機でのメーサー兵器運用は急務であった。 |
メーサー攻撃機はAH-1シリーズの対戦車ヘリをベースに胴体両側に前進翼形状の主翼を有したエンジン部、主翼両端にメーサーナセルを配した形で完成し、ASTOL-MB93として正式採用され、陸上自衛隊木更津基地に「93式メーサー攻撃機」として、配備された。 本機の完成に必要とした技術の出所は引き上げられたメカキングギドラの頭部から得られた文字通りの「未来技術」であったことは、時を経ずして就航したメカゴジラ、MOGERAの2体の怪獣型兵器公開時に明らかになった。 200万ボルトの92式メーサータンクで撃退できなかったゴジラに、せいぜい80万ボルトの航空機搭載メーサーは非力であることは明白であったが、怪獣の足止め役としての活躍が期待されたのだ |
さて、本機の構造であるが、左右一基づつ、2次元可変ノズル付きのターボファン・ジェットエンジンを装備し、離陸時にはノズルを斜め下方に向ける。また、胴体内にも一基ターボジェットエンジンがあり、ギアボックスを介して、左右エンジン部の底部にあるリフト・ファンを駆動する。 可変ノズルとリフト・ファンにより上向きの推力を得て、機体をわずかに浮かせ、主翼が揚力を発生するまで、加速して離陸する。 |
引き込み式の着陸脚を装備していないのは、脚の収納空間が確保できないため。メーサーナセルの空気抵抗も大きく、固定脚も重量的、空気抵抗的に負担となるため、ヘリコプターのようなスキッドを採用している。 リフト・ファンによるSTOLを採用しなければ、引き込み脚も可能であったと思われるが、重量バランスの不安定な本機では、低速時のリフト・ファンによる姿勢制御は必須である。 実のところ、リフト・ファン・エンジンの本来の役割はメーサーへの電力供給であり、このエンジンの全力運転により絞りだされた電力により、80万ボルトのメーサーを発射する。 リフト・ファンで揚力を得ている際は、これに出力のかなりの部分をとられてしまうので、メーサー発射にはナセル内のキャパシターの電力に頼ることになる。キャパシターにはメーサーを1ないし2回程度発射する電力を蓄えることができる。 |
本機の基本戦術は高速での一撃離脱戦法だが、リフト・ファンにより滞空し、1984年のゴジラ東京上陸の際、スーパーXがそれなりの効果をあげた建物などを遮体とした待ち伏せ戦術をとることもできる。 しかし、リフト・ファン使用時は、メーサーの発射回数が限られるため、「実施可能」であるにすぎない。 |
高速飛行時はリフト・ファンは機体制御の補助程度にしか使用していないため、ジェネレーターから連続的に電力が供給され、メーサーの連射が可能となる。 移動と攻撃の両方で燃料を消費する本機は、アフターバーナーを使用する戦闘機よりも燃料消費が激しい。丹沢山中に出現したゴジラに対して出動した際は、木更津を発し、厚木で給油した後に参戦した。メーサーのための燃料不足が懸念されたのだ。この寄り道の結果、富士山麓の駐屯地から展開してきた戦車、メーサータンク部隊などの車両にすら遅れをとることになった。 残念ながら、期待されていた「初動時の足止め役」も難しいようだ。 また、主翼にはパイロンを介して、70mmロケット弾などを装備できることになっているが、重量が増えるわりには有効性が見込めないため、装備されたことはない。機種の20mmガトリング砲も装弾数はかなり減らされてという話だ。 怪獣型兵器が実用化されたため、生産は凍結され、配備が進むことはなかった。 「ざんねんな対怪獣兵器写真集」より |
作品解題です。 「ゴジラvsモスラ」に登場した93式メーサー攻撃機。見た目の格好良さ(人によって意見は違いますが)の割には、キット化に恵まれない機体です。 「ないものは作るしかない」というわけで、ハセガワの1/72 AH-1Sをベースに作成してみました。 上の解説は、全て私の妄想ですので、公式からの転載でもなんでもないので、念のため。 |
参考にしたのは、「特撮DNA展」で撮ってきたスタジオプロップの写真。いろいろなアングルから撮ってはいたのですが、ガラスケース内の展示ですので、欲しいアングルが全てあるわけでもなく・・・。 そこで、陸自公式サイトで公開されているAH-1Sのペーパークラフトを元に.紙で作成し、それを元にバランスを調整して作成しました。 技量、材料などの都合で劇中機とは、だいぶ違います。 大きな相違点としては、まずコクピット。劇中機は前席がパイロットで後席がガンナーあるいはオペレーターのようです。作成機のコクピットはAH-1Sのままですので、逆になっています。一撃離脱戦法がメインなので、、やっぱり前席は操縦士ですよね。 また、メーサー・ナセルも一回り大きく作ってあります。これは、適当な直径の丸材が手に入らなかったため。 インテークの異物吸入防止のためと思われるメッシュもつけていません。これは好みの問題。 などなどです。 追加部分はほぼポリパテの塊なので、キット本来のスキッドでは、自重をささえることが出来ず、スタンド必須となっております。 例のごとく、解説は架空の本からの引用としていますが、考えてみれば、「残念じゃない対怪獣兵器」の方が少ないような・・・ |